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2013(平成25)年度通常総会

現在の自然は、私たちが知ることができない遠い祖先から大事に守られてきました。私たちは、その豊かな自然の中で暮らすことができています。でも今は、人間の生活を豊かにするため便利にするための代償として豊かな自然を破壊することが多く行われています。自然にとっては、今は寒く厳しい時代なのかもしれません。そんな時であるからこそ、私たちは、自然を大切に、必要によっては自然を修復しながら、私たちだけのためではなく、私たちの子孫のために今できることをしなければなりません。
今、多くの種の絶滅が、かつてないスピードで進んでいます。地球の歴史の中で6度目の大量絶滅の危機とも言われています。過去の種の大量絶滅は、地球環境が大きく変わり新たな種が生まれる節目でもありました。現在の大量絶滅は、人間が自然を壊すことによって、生物の居所が無くなり生態系が壊れた結果なのかもしれません。この多くの種のいのちをみんなでつないでいこうという思いも込めて自然環境を大切にしていかなくてはなりません。

これまでの子どもの森の活動を通して、それぞれの団体単独では、その想いを形にすることの難しさを感じていました。一方、企業や他の団体と協働し活動した時には、容易に形になっていく実感がありました。同じ想いを持つもの同士が一緒になって活動や事業を進めて行くことが、地域の問題解決にとって有効な手段となります。
過疎化が進む中山間地域は、人口は少ないけれど、その面積は国土の大部分を占めており、厳しい条件の中にあっても、森を守り、水を守り、田畑を守り、日本の文化を守り、心のよりどころとなる美しい景観と環境を未来の世代に引き継いでいこうと努力しています。過疎地域の森林や農地、農山漁村は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、保健衛生、地球温暖化の防止などの多面的機能を発揮しています。過疎地域が都市地域と相互に補完し合い、交流を進め、より多くの人々が過疎地域において多様な生活を営むことのできる場として整備していくことを通じて、自立的な地域社会を構築していくことが必要です。
地域の問題を解決し、より良い地域を目指すための試みが、行政を含め多種多様な団体によっておこなっています。子どもの森は、地域の方々と一緒になって中山間地域の里山景観と環境保全を切り口として、中山間地域の諸問題に取り組んでいければと考えています。それぞれの団体が協働して総合的な取り組みをおこなう必要性もあります。そんな想いもあって、宮崎県の委託事業である「協働商談会開催事業」を、宮崎県生活・協働・男女参画課と協働して「協働創出市〜協働商談会(県北地区)想いを”かたちに”」を開催しました。

命の営みであった食の生産が、経済活動へと組み込まれて効率・利益を偏重する結果、化学肥料の集中利用、大型機械を用いた大規模経営が標準となり、季節と自然に調和した昔ながらの農業が見られなくなってきました。流通にも効率・経済性が強く求められ、結果として生産者の顔、生産・加工のプロセスが見えにくくなっています。加工・調理品の中にはどこの国から入ってきたものかさえわからないものもあるほどです。さらに、いま我々は季節や地域を問わずさまざまな食材を手に入れることができるようになりました。しかし同時に、食べ残しや賞味期限切れによる破棄も急増して環境への負荷も増大し、輸入食品による運搬で過大なエネルギーを使用しています。そして、一粒のお米にも感謝の念をおぼえたほんの数十年前とは大変な変わりようです。健全な食は健全な環境から生み出されるものです。
そのような背景から、地域の小学生とその保護者に対して、四季を通した自然体験や農業体験から自然の大切さを理解し、将来の自然環境の守り手に育ってもらえるような環境学習として、「四季をまるごと体験ecoスクール」を開催しています。

スギ林に広葉樹が入ることによって林床に多様な落葉が供給され、土壌も豊かになります。このためスギも広葉樹も元気よく成長して病虫害にも強い森林になります。また、木の根が浅いところから深いところまで広く張り巡らされて土をしっかり掴むことから、土砂災害などに強い森林になることが期待できます。育ったスギを伐採(抜き切り)する頃には後継樹として広葉樹が育ってきているので、常に木材という資源が育成している循環型の森林になります。将来的には広葉樹林になりますが、これらも用材としての活用が期待できます。木の実やキノコ、山菜などの山の幸が豊富に育ち、恵み豊かな森林になります。また、これらを好む動物たちも増えることが期待されます。春にはまばゆい新緑、秋には色鮮やかな紅葉、また林内には季節折々の山野草の花々が見られるようになります。これらの景観は、私たちの心に安らぎに満ちた一時を与えてくれます。そのような林業のモデル的森づくりである杉(針葉樹)の雑木(広葉樹)の混交林である子どもの森1号地の植樹した苗木が大きく成長し苗木の育林の必要もなくなりました。

日本では昔から竹を身近な資源として暮らしの中に上手に取り入れて生活してきました。春には筍を食料にし、竹でざるや籠などを編み、殺菌力のある竹の皮でお弁当を包み、日用品から工芸品まで幅広い用途で活用されてきました。しかし、最近では安価な外国産が輸入され、また竹製品に代わるプラスチック製品が広く一般的に使用されるようになり国産の竹の需用は著しく減少し、その結果として最近では、放置されたままの竹林が増え問題視されるようになりました。竹の地下茎は30cmと浅く、森林や里山を構成する広葉樹のように大きな治水効果がありません。最近では大雨のたびに土砂災害や地すべりの危険が取り沙汰されるまでになりました。そのような放置された竹林の整備と伐採した竹の有効活用を進めている妖精の森では、ローソン緑の募金事業として平成22年度から3年間継続認定され、株式会社ローソン社員と地域のローソン店舗から参加者もありました。

平成25年度の活動においても、企業や他の団体、学校や労働団体と一緒になって協働を意識した森づくりや環境体験型学習、自然交流活動を進めて行きたいと思います。さらに、中山間地域を活気あふれる場所にする試みにも取り組んでいきたいと思います。