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自然農法の研修 2009年11月5日

 日向市にある「自然農園」に、自然農法の勉強に行ってきました。「自然農園」の主である黒木さんは、MOA認定を受けて食の安全な野菜と自然環境への配慮した農業を実践しています。

参加者:横山理事長、田中副理事長、横山理事、斉藤理事、他会員1名

 10時に自然農園に到着後、自然農園横にある旧里山の山斜面を見せてもらいました。この山斜面は、自然農園が中心になって、次年度以降に、整備活動をして子供たちが入り遊べる場所にするそうです。
 子どもの森の竹林整備で作っていた竹チップを使っての堆肥作りを見せてもらいました。竹チップは、黒木さんが子どもの森の竹林整備活動に参加した時に持って帰っていた物です。
 その後、自然農法で生産している緑米(古代米)の田んぼとレンコン泥畑を見学しました。畑で米苗を育て、田を耕起しないで、米苗を植え、米ぬかと水だけを与え無肥料・無除草で刈り取りまで手をかけないそうです。ただ鳥防護ネットは張っていました。思ったより草も伸びておらず緑米の穂が元気に実っていました。田んぼへの水引き路には、近年見かけなくなったタイコウチやカワニナ、メダカが生息していました。昔の自然がそのまま残っている場所でした。
 お昼ごはんをとってから、柿酢を作るための山柿を取りに行きました。一つの枝に山柿が鈴なりになっており、約30Kgを収穫しました。山柿は、持って帰り柿酢作りに挑戦することにしました。また、サルナシの実をいただきましたので、森の学舎にサルナシのツルを這わせてみたいと考えています。
 自然農法や有機農法で生産された野菜等は、近年の農業では軽視されている食の安全や環境への配慮がされています。その配慮が付加価値となるような仕組み制度や消費者意識などの社会的認知が必要だと感じました。

自然農園事務所兼住居でお茶とお昼ご飯をとりました。 旧里山斜面でサルナシの実を採取しました。
子どもの森の竹林整備で作った竹チップを使っての堆肥作りで、発酵による熱を確認しました。 サルナシの実がたくさん付いています。
自然農法の象徴である緑米の田園です。 緑米は、これから刈り取りをするようです。
タイコウチとカワニナです。この場所はたくさんのホタルが居るそうです。 まさにメダカの学校でした。
山柿をたくさん千切りました。 人懐っこい放し飼いの鶏もいました。


タイコウチやメダカは、かつては身近な小川や水田などにふつうに見かけていましたが、近年では、都市開発や水路改修、営農形態の変化や農薬などの影響により姿を見る機会が少なくなりました。

自然農法は、耕さない・除草しない・肥料を与えない・農薬を使用しないを特徴としています。肥料や農薬を使用する従来の農法(有機農法も含む)と異なり、基本的に種まきと収穫以外の作業は行わず自然に任せた栽培です。しかし、油粕や米ぬかだけは撒く人や耕起だけは行う人、草を取らずとも刈ってしまう人なども自然農法の実践者として名乗る事があるので、自然農法の栽培法は多様となります。


間伐研修 2009年9月19日、20日

主催:みやざき森づくりボランティア協議会
協力:宮崎中央森林組合、宮崎市役所森林整備課
目的:植林や育樹活動を主な活動としている団体が多い中、今後将来的には、活動の幅も広がることが予想、期待されています。そんな情勢において、間伐の実地研修は大変必要なこととなります。
場所:宮崎市椿山森林公園・宮崎市有林(スギ32年生)椿山森林公園敷地内椿山キャンプ場

協議会加盟の他5団体の会員と一緒に、本格的な間伐作業の実地研修に参加しました。


雑下木があるとスギを伐採倒木した時に危険であり、玉切りや搬出が難しく危険になるので、邪魔になる雑下木を切って伐採箇所から除きます。

伐採するスギを撰木します。約30%を間伐します。

←雑木を切るのには抵抗がありましたが・・・

一人1本から2本を、チェーンソーで伐採しました。

伐採した切り株をチャックします。受け口・追い口・つるがキチンとできているかを全員で確認して、伐採作業の問題点を把握しました。

夜は、いつもの通り懇親会が行われました。

伐採したスギの枝打ちと丸太切りを実施しました。


林業は、とても危険な作業であることを改めて感じました。現在は、森づくりボランティアは、広葉樹の植樹や育林が主であるため、スギの手入れは行いません。しかし、スギ材価格の低迷や林業後継者が少ないために、スギ山が放置され災害に弱い山になっている実態もあります。近い将来、除伐や間伐等のスギの手入れ、スギ材の販売促進などにも、ボランティアが介入するかもしれません。しかし、自然環境保全の大義の元で、主体性を持たないボランティアとして、スギの手入れ等をすることは、とても危険なことだと思います。

「みやざき森づくりボランティア協議会」総会 2009年6月13日、14日

 みやざき森づくりボランティア協議会の総会が、にわとこの会がホスト団体となって日南市酒谷コミュニティーセンターで、14団体の参加によって開催されました。13日は、にわとこの会のフィールド(快気祝いの森)の見学と、地元町おこしグループやっちみろ会の日高会長による「小さな自治と足元学で地域づくり」と題しての講演、伝統芸能太平踊保存会による太平踊、そして夜は参加者懇親会が実施されました。
 14日の総会前に、棚田100選に選ばれている坂元棚田を見学し、棚田オーナー制等の棚田の維持管理の難しい現状についてのお話を聞きました。
 総会において、横山理事長が、協議会理事に再任されました。


参加者記念撮影

懇親会での子どもの森自己紹介

坂元棚田

総会

「みやざき森づくりボランティア協議会の森」下草刈 2009年6月6日

 みやざき森づくりボランティア協議会が、一般参加者を対象にした初めての講演会「森から海までシンポジウム」を記念して、畠山重篤さんと中村文明さんも一緒になって植樹をしたフィールド(ロキシーヒル内の「みやざき森づくりボランティア協議会の森」)の下草刈を実施しました。一緒に参加した宮崎グリーンヘルパーの会と水源の森づくりをすすめる市民の会は、ロキシーヒル内にある自団体フィールドの下草刈をしていました。その間に、みやざき森づくりボランティア協議会の森は狭いため、各団体が自フィールドの草刈りをしている間に、2人だけで下草刈は終了しました。

 昼食は、各団体集まって昼食をとりました。昼食は、各団体それぞれで用意だったので、誰が誰の昼食を食べているのか解らない状況になってしまった様な!(~_~;)

 参加者:横山(謙)、横山(純)

村丸ごと生活博物館と愛林館 2009年5月1日

《村丸ごと生活博物館》

熊本県水俣市は、人・地域・経済が元気な村づくりを実現するために、元気村づくり条例を平成13年に策定し、翌年の平成14年に頭石(がくめいし/45世帯)地区が「村丸ごと生活博物館」の第1号となり、その後、久木野(くぎの/161世帯)・大川(おおかわ/95世帯)・越小場(こしこば/133世帯)が加わり4地区となっています。急な訪問であったこともあって、村丸ごと生活博物館担当の水俣市役所職員の冨吉さんが対応してくれました。本来は、地元の方が案内をしてくれるですが、農作業で忙しかったりして地区の方が対応できない時期もあるとのことでした。
村丸ごと生活博物館は、自然・産業・生活文化を守り育てる地区全体を博物館と位置付け、「生活学芸員」と「生活職人」に認定された地区住民の方が、訪問者に村丸ごと生活博物館を案内していきます。そして、訪問者の驚きや感動が、暮らしの凄さを引き出してくれ、地区住民が元気になっていきます。また、地区の料理や生活作業等の体験ができます。訪問者の感動だけに止まらず、訪問者が地区の生活を体験し、都市部との交流を通して、地区が元気になることを目的としています。生活のために築きあげた風景を、生活文化遺産として伝え、都市部に住んでいる人と地区に住んでいる人がお互いに必要な存在として一緒になって、貨幣経済・共同する経済・自給自足の経済をとおして豊かで元気な村づくりを進めています。
冨吉さんに案内してもらったのは大川地区で、地元料理がだされるループ亭(廃校となった分校)を中心に、棚田が綺麗に整備された日本の原風景を感じ、昭和63年(1988年)に廃止となった山野線鉄道跡地には線路が残っていて今にも汽車が走ってきそうな気がしました。途中で、2件のお宅でお茶を呼ばれ、1件のお宅ではお庭のお花を拝見させていただきました。お茶を呼ばれたお宅では、手作りの漬物や自家製小麦で作った手作りパンをご馳走になりました。
前もって資料などで情報はあったのですが、聞くのと見るのは大違いで、村丸ごと生活博物館を散策・案内していただくと地区の凄さや大切さ素晴らしさを感じることができました。地区住民にとって当たり前のことだと思っていた風景や生活が、都市部からやって来た人には当たり前でない事であり、地区住民の誇りと自信が地区を元気にするのだと改めて実感しました。また、1時間の案内予定が2時間30分も丁寧な案内してくれた冨吉さんにも大感謝でした。


水俣市役所職員の冨吉さんと

ループ亭(旧水俣市立久木野小学校大川分校)
お茶を呼ばれたお宅で
棚田がすばらしい大川地区


《愛林館》

村丸ごと博物館を見た後に、水俣市久木野ふるさとセンター愛林館の沢畑館長さんとお会いしました。九州森林管理局の広報誌「九州」(平成18年12月10日発行)の「ちょっと一言」を読んだ沢畑さんから2年前にメールを頂いていました。愛林館は、水俣市久木野の村おこし施設で、水俣市が建設・所有し委託を受けて久木野地域振興会が管理・運営を行っています。活動のテーマは、「エコロジー(風土・循環・自立)に基づくむらおこし」で、1994年に落成し館長を全国公募し、沢畑さんが同年11月より館長として勤務をしています。【愛林館HPより】
愛林館が主催している水源の森づくりをしている森林の見学をさせていただきました。従来のスギの間伐に代わっての巻き枯らし間伐(表面の皮をスギが立ったままで剥いで立ち枯れさせる方法)の現場と、環境省のかおり風景100選に選ばれている大学山や、現在手がけている森、水俣川の水源のひとつである寒川水源を案内してくれました。また、日本の棚田百選に選ばれた寒川地区の「棚田のあかり」についての説明など、愛林館と地元地域やボランティアとが一緒になって実施している活動を学びました。愛林館が手がけた森林面積は、21haに達しています。


沢畑さんと愛林館内で

大学山

《5月2日》

森の学舎の活用ヒントを得るために、熊本県で廃校となった学校の活用事例を見聞きしました。
@特定非営利活動法人美里NPOホールディングスが美里町より指定管理者として委託・運営をしている「げんきの森かじか」について、代表の濱田さんより「げんきの森かじか」運営内容の説明を受けました。
A小学校を再利用する目的で校舎を増改築したことから、宿泊・研修施設として運営していることを、運営会社の(有)神楽苑の「なみの高原やすらぎ交流館」望月館長さんからお話を伺いました。
何れの事例共に、公的資金により廃校を増改築して、宿泊・研修施設となり地域コミュニティーの拠点としての活用でした。お二人とも、地域に根付いて地域のためにとの熱い思いで旧小学校を運営しています。両施設共に、旧西門川小学校松瀬分校の森の学舎とは比べられない大規模な学校でした。


げんきの森かじか(旧中央町立中央南小学校)

なみの高原やすらぎ交流館(旧波野村立小池野小学校)

森から海までシンポジウム 2009年1月25日

 みやざき森づくりボランティア協議会主催の「森から海までシンポジウム」とロキシーヒルでの「シンポジウム記念植樹」に行ってきました。
 参加者:横山(謙)、吉田、横山(純)、斉藤

記念植樹

クヌギとヤマザクラの計100本を植樹した場所は、「みやざき森づくりボランティア協議会の森」となりました。

 県北からの会員3人は、朝7時30分に出発して、記念植樹をするロキシーヒルに向かいました。宮崎在住の会員は、宮崎駅東口から協議会が準備したマイクロ・バスでロキシーヒルに向かい現地で合流しました。
 他の団体とシンポジウム・パネラーの畠山さんと中村さんも植樹に参加して、総勢20人の記念植樹となりました。植樹のための地こしらえは、ロキシーヒルで実施してもらいました。

 植樹終了後、子どもの森メンバー4人は、ロキシーヒルのシンボルであるツリーハウスを見学してから、シンポジウム会場の宮日会館に向かいました。


以前よりツリー・ハウスが高くなった気がします。

基調講演


「鉄が地球温暖化を防ぐ」を講演する畠山さん

 「鉄が地球温暖化を防ぐ」が、畠山さんの講演題目でした。鉄が、動植物の生育に欠かせない物であること、食物連鎖の中で植物プランクトンの豊富さが大型魚類を育てていることを知りました。鉄は、無酸素状態となる腐葉土では酸素と結合して固形化することなく、バクテリアにより作られるフルボ酸と化合して、イオン化して水に溶け、川に流れでて、海へと注がれていきます。真水と海水が混じり合う汽水域は、豊富な鉄分によって豊かな海となっている事をわかり易く解説してくれました。腐葉土は、緑のダムの他に動植物の生育に必要な鉄をイオン化する大切な役割を持つ事を学びました。
 腐葉土ができない荒れた森林に降った雨の流れ込む川の汽水域では、鉄分が極端に少なく、豊かな海にはなりません。また、多くの木々が流され海岸を埋め尽くす災害が発生します。これが、現在の森と川と海の現状です。豊かな海は、海藻が生い茂り海の中に森を作り、二酸化炭素を吸収して酸素を放出します。豊かな森を取り戻すことで、海産物等の食糧が増え、二酸化炭素の吸収により地球温暖化防止にもつながって行きます。

パネルディスカッション


パネル・ディスカッション

 パネラーの多摩川源流研究所中村さんと師協議会会長の実践活動の紹介後に、基調講演後の休憩時に、パネルディスカッションで取り上げる質問を会場から集めた質問を使ってコーディネータの岩倉協議会理事の進行でパネルディスカッションが進みました。残念なことに協議会の図師会長は、インフルエンザで入院していて、パネラーとして参加できませんでした。
 ディスカッションの中で印象的だったことは、@スチール缶を燃やすと鉄と炭素(ラベル=ペンキは炭素となる)となるので、海に設置すると鉄分が海水に溶け込み豊かな海への手助けとなる。A鉄と炭の携帯カイロを使い終わったら、クエン酸を混ぜて鉄がイオン化してクエン酸に溶け込むので、それを台所の排水口から流すと、鉄の養分で微生物が活性化して下水がきれいになる。鉄の恩恵のすごさと、実践が容易であることなどを感じました。

 子どもの森のメンバーは、水源の森づくりをすすめる市民の会と一緒に、会場出入口での入場者誘導と、パネラーへの質問票集めとアンケート回収をする会場係りを担当しました。

懇親会

 子どもの森からは、3人が参加して、畠山さんと中村さんを交えて、打ち上げ懇親会をシンポジウム近くの居酒屋で行いました。懇親会では、畠山さんから、シンポジウムで話そうと用意していた他の話題を聞きました。懇親会への参加で2回分の講演を聴くことができて、とてもお得な気分でした。

シンポジウム出演者紹介

はたけやましげあつ
畠山 重篤 さん

(宮城県在住)
牡蠣の森を慕う会代表1943年、中国生まれ。カキ養殖業を営む。家業のかたわら、豊かな海を取り戻すため気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根山で、漁民による植林活動「森は海の恋人」運動を続ける。山の子どもたちを養殖場に招く環境教育も継続している。94年「朝日森林文化賞」、04年「第52回日本エッセイスト・クラブ賞」など受賞。05年京都大学フィールド科学教育センター社会連携教授に就任。著書に『森は海の恋人』『鉄が地球温暖化を防ぐ』など。


「鉄」の力で地球を守ろう

 2004(平成16)年、「森は海の恋人」運動で宮沢賢治イーハトーブ賞を受賞した。表彰状の文面を見て驚いた。「もし賢治が漁師だったら、あなたと同じ発想で同じ行動を起こしたでしょう…」漁民による植林運動を続けて20年になるが、その中で学んだ科学的な根拠は、生命体にとって「鉄」とは何かということである。
 賢治の専門は農芸化学であるから、植物にとっての鉄の役目は熟知していたはずだ。稲の肥料の吸収が悪くなると、崖の赤土を水田に入れなさい、赤土の鉄が肥料を効かせるから、と指導したであろう。鉄は、植物が光合成を行うための葉緑素の生成にも不可欠である。また、硝酸塩、リン酸塩などを養分として吸収する時、還元酵素の働きを円滑にする触媒の形で鉄が必要になる。
 鉄は酸化すると粒子となり、海底に沈むため、海では極端に不足している。半世紀ほど前から、南極海、赤道海域、ガラパゴス諸島近海、アラスカ湾など、栄養塩の豊富な海域で、植物プランクトンの発生が少ないことが知られていた。それが解明されたのは、わずか20年前だ。米国の海洋化学者ジョン・マーチン博士の微量金属分析技術に拠る海洋の鉄濃度は海水1リットル十億分の一グラムレベルだという。
 マーチン博士は、北洋漁場の漁獲量の多さは、深層水がわき上がる栄養塩豊かな海域に、ジェット気流で運ばれる黄砂が鉄をもたらすことを発見。植物プランクトンの増殖のカギは鉄であると確信した。さらに、南極大陸の氷柱の分析から、氷河期は今より10〜20倍、鉄を含んだ大陸由来の風塵が南極海に飛んでいたことを知り、海洋の植物プランクトンの増減が地球の温度変化と連動していることを予測した。
 沿岸域の鉄の供給源は森である。落ち葉が腐葉土になる過程で生合成される有機酸(フルボ酸)と、土中でイオン化した鉄が結びつき、フルボ酸鉄となって川から海に供給される。二級河川を含め約二万一千の河川が海に注ぐ日本の沿岸域は、単位面積で比べると熱帯雨林に匹敵する。このように鉄の科学抜きで環境問題は語れないのだ。


なかむらぶんめい
中村 文明 さん

(山梨県在住)
多摩川源流研究所所長
1947年生まれ。宮崎県東諸県郡高岡町出身。中央大学法学部卒業。
1983年〜2001年 中村英数塾経営
1987年〜2000年 塩山教育委員会・大藤公民館主事 大藤公民館館長(塩山市館長主事会副会長・主事会会長)
1994年 多摩川源流観察会結成、会長
2001年 多摩川源流研究所設立、所長2002年 全国源流ネットワーク設立、代表
 妻の実家のある山梨県塩山市(現甲州市)で学習塾経営の傍ら、地元の公民館の主事や館長を務めた。14年前、源流の魅力に取り憑かれ1994年多摩川源流観察会を結成(会長)。1300回以上源流に足を選び、沢や滝、淵の名前、その由来、自然と人との関わり方などを古老から聞き取り、多摩川源流絵図三部作を作成。そのことがきっかけとなり、2001年に出梨県小菅村が立ち上げた「多摩川源流研究所」所長に就任。2002年全国源流ネットワーク設立(代表)。研究所では、源流域の資源の調査・研究。会報「源流の四季」の発行。上下流交流事業として親子で本物の大自然を体験する源流体験教室の開催。源流ネットワークの形成。源流大学(東京農業大学現代GP事業)の開校による体験学習の推進。そして今、全力で取り組んでいる内閣府支援の「木づかい保健室プロジェクト」。源流の間伐したスギを使って多摩川流域の小中学校の保健室をリフォームすることで、子供達の健康づくりと森林再生に貢献しようというもの。子供達と源流の森が繋がる教育的な効果が最大の収穫と考え、また流域内で森林資源の循環・活用の仕組みが構築されることを目指している。
 源流は流域の要。源流は国土保全や環境保全の最前線に位置している。日本文化の原点と言えるかも知れない源流の諸々の資源に光を当て、再認識、再評価してその可能性を探究していきたい。「水は命、森は源、川は絆」を合言葉に。


ずしてつお
圖師 哲雄 さん

(西都市在住)
みやざき森づくりボランティア協議会会長
1935年 西都市三納に生まれる。葉煙草栽培、養蚕、養鶏業など農業を営む。
1999年 第一回植樹祭を開催
2000年 「ロキシーヒルの会」設立
2003年 平成15年9月に開催された第55回全国植樹祭プレイベント「悠久の森づくりボランティア全国大会」を大会の企画運営を圖師会長が中心となって、みやざき森づくり協議会主体で開催
2008年 宮日新聞教育賞受賞


豊かな森へ

 1997年62歳の時に農業を引退すると宣言。材価低迷で人の手が入らず、荒廃の一途をたどる森林の惨状を心配しておりました。この頃ジャン・ジオノ著「木を植えた男」の絵本に出会いました。羊飼いの男ブフィエが荒れ果てた大地に1人で黙々とカシの実など何十年も植え続け、荒野はやがて緑豊かな森に変わり、そこを離れていた住民の子孫が次第に戻って来ると言うストーリーです。私はこの本に衝撃的な感動を覚え、自分の持ち山(15ha)を本格的な混交林の山にしようと、仲間たちと森作りにかかりました。1979年に初めてネパールへトレッキングに行き、2度目は1983年、1999年3度目のネパールとの交流がロキシーヒルの名前の由来となりました。
 1999年に第1回植樹祭を開催、以後2008年までに10回の植樹祭を開催。その間、3年前頃から毎年、高校生キャンプを受け入れ、自然を体験する子供たちの後押しを続けています。今後もこの森が環境教育に活用されることを重視した森作りを続けていきたい。
 2003年(平成15年)1月に「みやざき森づくりボランティア協議会」が誕生しました。その年9月には第55回全国植樹祭のプレイベントとして「悠久の森づくりボランティア全国大会」が、西都市を主会場に盛会の内に行われました。全国から1500人もの人が集いましたが、その企画運営については、発足したばかりの本協議会が中心になって行ない、関係機関からの高い評価を受ける事ができました。現在16団体が加入しています。これからも、協議会の活動理念でもある人間と自然が共生する、自然の循環が滞りなく行われる「豊かな森」をめざした活動をしていきます。


いわくらなおや
岩倉 尚哉 さん

(宮崎市在住)
みやざき森づくりボランティア協議会理事
気象予報士 宮崎ケーブルテレビにお天気キャスターとして出演。
1953年生まれ。宮崎南那珂郡南郷町出身
2001年 自然保護ボランティア「宮崎グリーンヘルパーの会」会長、宮崎県環境保全アドバイザー、宮崎県地球温暖化防止活動推進センター運営委員
2008年 森林インストラクター
 「森は海の恋人」というフレーズは、どこか頭の隅に記憶されている人が多いのではないでしょうか。今回は20年前から「森は海の恋人運動」として、山に広葉樹を植えてきた畠山重篤さんの話を聞くことができるということで、とても楽しみです。
 自然のことを学ぶにつれ、自然はとても不思議に満ちた世界であることを感じさせられます。動物も植物も全てが関係し合って生きていて、とても神秘的です。今回は森と海の関係について、長年の経験を通した話が聞けそうです。
 中村文明さんは、2007年10月に五ヶ瀬町で開催された第8回全国源流シンポジュウムで初めてお会いしました。パネリストとして話された中村さんの話は、実践されていることなので、非常に心に残っています。多摩川の源流を調べ尽くしたそのパワー、子どもの自然環境教育、中村さんに会った子ども達は生きる力をもらった事でしょう。中村さんには、機会をみつけて宮崎県に里帰りしてもらい、話をして欲しいと思っていましたが、今回、実現してとても嬉しく思っています。
 図師哲雄さんは飲み仲間です。また、森づくりを真剣に話し合える先輩でもあります。図師さんの森づくり活動は全国的にも知られており、ロキシーヒルに行ってみたいと言う人が多くいます。ロキシーヒルの森づくりは、楽しくやっていることが皆の心を引きつけるのでしょう。また、ロキシーヒルの魅力は、圖師さんそのものの魅力です。一緒にいると、なんとなく癒されるのは、同じ飲み助だからだけではなさそうです。
 畠山さん、中村さん、圖師さん、この実践派の3人の話を混ぜ合わせると、何が出てくるのでしょうか。楽しみです。