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2018(平成30)年度通常総会

《自然の豊かさは5割減》
 『Living Planet Report:生きている地球レポート』が設けている、大きな指標の一つが、地球の生物多様性の劣化を示す「LPI:Living Planet Index(生きている地球指数)」です。
 これは、世界各地の陸域、川や湖などの淡水域、海洋に生息する、3,000種以上の野生生物の10,000以上の個体群を調査し、個体数がどれくらい減少したかを基に計算したものです。
 この「生きている地球指数」は、1970年時点と比較して、世界平均で52%も低下しています。つまり、地球の自然の豊かさが、それだけ損なわれてきた可能性を示しています。
 世界では今、2万種を超える、野生の動物や植物が、深刻な絶滅の危機にさらされていますが、そのことも、この失われゆく地球の自然環境の現状と大きく関係しているといえるでしょう。
 こうした環境の悪化の大きな原因となっているのが、人類による地球の「使いすぎ」です。
 
《収支は大赤字!地球がもう一つ必要に?》
 『生きている地球レポート』のもう一つの指数「エコロジカル・フットプリント」では、この人間の自然資源に対する需要と、環境への圧力を示しています。
 「エコロジカル・フットプリント」とは、木材などを生産している森林や、魚介類などをもたらす海洋、農場、牧草地といった、現在人類が消費している物を生み出すために必要な、生産性のある「土地」を、架空の面積に置き換えたもの。
 ここには、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を、自然の状態で吸収できる土地に相当する面積も含まれています。
 この「エコロジカル・フットプリント」を基に、現在の人類による消費の大きさを計算すると、地球1個分の生産量に対して、1.5個分の利用をしていることがわかります。つまり0.5個分、使いすぎている、ということです。
 この現在オーバーしている地球0.5個分の消費分は、いわば森や海などでの乱獲や、大量の二酸化炭素を排出することで、未来から「先借り」してしまっているわけです。
 これは、地球が本来もっている生産力を超え、原資を食いつぶす形で、人類が消費を拡大し続けている、ということに他なりません。
 現在のまま消費の圧力が大きくなり続ければ、2030年には、地球2つ分の資源が必要になる可能性も指摘されています
 
《国や地域によるちがい》
 もちろん、こうした消費の大きさや、自然環境への圧力は、国や地域によって異なります。
 1人の人間のエコロジカル・フットプリントは、住んでいる国や地域によって、大きく左右されます。使っている製品やサービス、エネルギーの消費量などが、それぞれ異なっているからです。
 たとえば、人類すべてが一年間、インドネシアの平均的な市民と同じ生活をするなら、地球の生物生産力の3分の2で十分となります。
 しかし、もし全人類がアメリカ合衆国の平均的な市民と同様の生活をするならば、4個分の地球の生産力が必要となります。つまり、環境問題の解決を目指す時には、こうした地域や国による事情、特に貧困などの社会問題をも含めた視野で、国境をこえた協力のもと、取り組みを行なう必要があるのです。
 
《地球1個分という解決をめざして》
 WWFは地球の自然環境を未来に引きついでゆくために、「地球1個分という観点」から、すべての人に食糧・水・エネルギーを保障できるように、より良い選択肢を提示し、その実践を目指しています。

WWF(World Wide Fund for Nature)Webより引用

 WWF:世界自然保護基金。世界の野生生物とその生息地を保護するための基金。本部はスイス。